日本整形外科学会とは

理事長就任のご挨拶

 令和元年(2019年)5月より山崎正志前理事長の後任として、公益社団法人日本整形外科学会(日整会)第13代理事長を拝命いたしました。90年余の歴史を誇り、25,000人の会員を有する本学会の運営に携わらせていただくことを大変光栄に存じます。

 現在わが国では少子高齢化が急速に進行し、本格的な人口減少社会に突入しています。このような中で社会の活力を維持していくためには老若男女を問わず国民の社会参加が必要であり、そのためには動けること、すなわち骨、関節、神経、筋肉、靱帯、腱など体を動かすために必要な運動器の健全性が極めて重要です。

 整形外科はあらゆる運動器疾患の予防、治療に取り組む診療科です。その対象疾患は脊椎や四肢関節の加齢性疾患、外傷、先天性疾患、骨軟部腫瘍、骨粗鬆症などの代謝性疾患、関節リウマチ・感染などの炎症疾患など多岐にわたります。これらの疾患に対する診断や治療(保存治療と手術治療)の技術は近年長足の進歩を遂げており、患者の方々の痛みや機能障害をより良く改善することが可能になっています。日整会では2007年に運動器の障害のため移動能力の低下をきたした状態であるロコモティブシンドロームの概念を提唱し、その予防・治療を通じて国民の健康寿命の延伸に貢献するべく活動するとともに、同シンドロームの重要性についての社会的認知度を向上させるべく努力を続けています。また、平成28年に開始された小学校1年生から高校3年生までを対象とした学校での運動器検診への対応として、会員施設が運動器検診後の事後措置協力施設となり、将来の社会の担い手である小児の運動器の健全性維持にも注力しております。

 学術的な活動としては運動器領域の基礎および臨床の最先端の研究成果の発表および情報交換の場として総会、骨軟部、基礎の3つの学術集会の開催、学会本体からのファンディングによる運動器に関する複数のプロジェクト研究の推進、数多くの運動器疾患に関する診療ガイドラインの作成などを行っており、これらを通じて整形外科学の進歩に貢献しております。

 社会における整形外科の重要性が高まる中で日整会が取り組むべき課題は数多くありますが、今後推進すべき活動として以下を挙げたいと思います。

1)新専門医制度への適切な対応と国民に信頼される専門医の育成、2)症例レジストリーシステムの稼働と診療効果向上のためのデータの利活用、3)ロコモティブシンドロームのエビデンス構築と社会的認知度の向上、4)働き方改革・男女共同参画の推進による整形外科診療の活性化、5)国際化の推進、6)小児運動器の諸問題への対応

 いずれも様々なハードルを乗り越えながら実現していく必要がありますが、理事・監事、代議員そして会員の皆様とともに、より良い日整会を構築するために全身全霊で取り組んで参りたいと思います。よろしく、ご支援・ご協力のほどお願い申し上げます。

公益社団法人日本整形外科学会理事長
(慶應義塾大学医学部整形外科学教室教授)
松本 守雄